明日、私の顔は少しだけ姿を変える。
長いあいだ胸の奥に置いてきた気がかりが、
やっと形を変えようと動き始める。
この日を迎えるまでの私は
本当に長かった。
外見の整えに踏み切るまでに
心との対話が、必要だったから⸻
心配性が顔を出す
予約の電話をしたのは約一か月前。
その日の私と、今日の私が、
一本の細い糸で静かにつながっているような気がする。
心の中では、楽しみと不安が小さく揺れて、
比率にすれば「六と四」。
けれど、それは戦いではなく、
ふたつの気持ちが寄り添いながら並んでいるだけだ。
今日、ふと“予約は本当に十三時だっただろうか”と
心配性がひょいと顔を出した。
会社の休憩時間に、ひとつ深呼吸をしてから
クリニックへ確認の電話をかける。
「大丈夫ですよ。気をつけてどうぞ。」
その一言で、胸の奥に張っていた糸が、すこしゆるむ。
十一月、三連休の初日、午後一時。
季節の気配と休日のざわめきがうっすら混ざる時間。
小さく揺れる、不安と期待
顔の変化には、いくつかの方法がある。
エステのようにそっと整えるもの。
注射のように少し痛むけれど、確かな効果をもたらすもの。
私はその両方をくぐってきた。
それでも明日は、おそらくこれまでで最も大きな処置になる。
目の裏側を切開するという説明を聞いた時、
胸の奥で硬い石のような覚悟と、
ほのかな灯りのような期待が、静かに横に並んだ。
それでもワクワクが少し勝ってしまうのは、
悩んできた年月の長さを思えば自然なことだと思う。
明日の私は少し好きになれるかもしれない。
ほのかな希望を持ってもいい日がようやく来たのだから。
旅支度のように、明日の準備をする
このあと、明日のために用意していたお金を下ろしに行く。
MacBookを買った時と同じくらいの、
私にしては久々の、少し大きな出費。
斜め掛けできるバッグをそっと取り出し、
深めにかぶれる帽子、サングラス、
手術中に握りしめる安心のタオルハンカチ、
メモ、ペン、充電器。
帰り道、麻酔が切れて痛くなかったら、自分へのご褒美にデパ地下にも寄りたい。
その為のエコバッグも忘れずに。
並べてみるとまるで⸻
“小さな旅”の持ち物のようだ。
今日までの私を労わる夜に
週末は夜更かしする私だけれど、
今夜だけは早めにベッドへ向かおうと思う。
体調を整えることが、明日の自分への
ささやかな気遣いのような気がして。
それから⸻
眠る前に、鏡をひとつ覗くつもりだ。
今日までの私を否定しないように。
静かに目を合わせ、
「ここまでよく頑張ってきたね。」
と、そっと声をかけてから眠りたい。
明日の私は、今日の私の続きだ。
変わるけれど、消えるわけではない。
その連続を大切に抱きしめながら、
前夜の灯りの中で、ゆっくり息を整える。
— Juna
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